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『鹿鳴館』

映画中ペアダンス重要度:★★★★

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→公式サイト


2008年1月5日に放映されたドラマ。テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャルということで、テレビとはいえ映画並みの力作。

原作は三島由紀夫(新潮文庫『鹿鳴館』)。
ドラマの出演は主人公・影山伯爵に田村正和、その夫人に黒木瞳。本作のヒロインとも言えるのが侯爵令嬢の石原さとみ。その令嬢が惚れちゃうのが書生の松田翔太で、反政府運動のカリスマ指導者が柴田恭兵。
これら登場人物は、それぞれに因縁を抱えており、鹿鳴館で行われる天長節の大舞踏会に向けて、物語がドラマチックに進んでいく。

元が戯曲だけあって、2時間のドラマにはピッタリのストーリー。
誰もが熱演を見せるが、特に田村正和は出色。ともすれば最近はユーモア込みで見てしまうその独特の演技も、ニヒルな伯爵政治家を演じるとこれ以上の役はないのではないかと思えるほどハマる。
正直、お正月のTVドラマということで、大きな期待はしなかったが、田村正和の役者人生にも大きな足跡となる作品ではないだろうか。

さて、ダンスシーンだがのっけからたっぷりと見せてくれる。
鹿鳴館(→Wiki)で踊られるのはもちろんウィンナワルツ
現代の社交ダンスで踊られるウィンナワルツ(ヴェニーズワルツ)と同じく、右回り(ナチュラルターン)、左回り(リバースターン)と、たまのヘジテーションが主な構成要素だが、大きく違うのは、カドリーユなどの宮廷舞踊の要素が残っていることだろう。
といっても私は専門家でもなんでもないので、詳しいことはわからないのだが、自由にパートナーを誘って踊るダンスではなく、一定人数が輪になって決まり事と共にステップとパートナー交代を繰り返すダンスのようである。

舞踏会のシーンは何度か登場するが、興味深いのは練習のシーン。お雇いの外国人ダンス教師の声に合わせて華族の婦人たちが練習する模様はどんな資料に当たって再現したものだろうか?

このダンス教師の出身国に興味がある。
主人公・影山伯爵のモデルは井上馨で、劇中でも英国に留学したと言っており、多分彼のダンスは英国式。鹿鳴館のダンスも英国式であったのだろうか、と想像を馳せる。

話は飛ぶが、日本に社交ダンスを広めた目賀田綱美男爵なる人物がいるそうだ。彼は華やかなりし1920年代のパリの社交界で踊られていたダンスを持ち帰り、その中にはアルゼンチンタンゴなどもあったという。
鹿鳴館とは時代がまったく違う(パリ留学から帰国は昭和元年)が、この話を聞くにつれ、この優雅で踊りやすいフランス式のダンスが日本で広まっていれば、と夢想したり……。
日本に最初に伝わった社交ダンスが、どんなものであったのか? そしてそれは現代にどんな影響を与えているのかというのも想像してみると興味が尽きない。
→詳細

*参考文献
目賀田ダンス 勝海舟の孫・目賀田綱美男爵が拓いたもう一つのダンス史
目賀田匡夫 著
A5判162頁 定価1,600円+税

鹿鳴館というと、あでやかな貴婦人たちがドレスを着て、毎夜のごとく舞踏会に興じるという華やかな印象だが、実際には付け焼き刃で外国人からは嘲笑され、庶民や憂国の士からは批難され続けた存在であったようだ。
ドラマでは、美しい女優さんたちが踊っているため、ほとんどそうした鹿鳴館の負の部分を見せることはないが、わずかとはいえ触れているのは評価したい。

ちなみにこのドラマ、現在のところ再放送もDVD化もされていない。
これだけの作品、いつかなんらかの形で再度登場することを切に願っている。


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