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『ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜』

映画中ペアダンス重要度:★★

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2004年アメリカ
出演:ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース
監督:ケヴィン・スペイシー
118分

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tv予告編[→Go YouTube]

私がペアダンスを始めて得たものは色々あるが、その中の一つが音楽の興味が広がったこと。今まで聴かなかったアーティストの曲に触れ、私の音楽ライフ(もしくはiPodのライブラリ・笑)は確実に豊かなものになった。

中でも、この『ビヨンド the シー』の主人公・ボビー・ダーリンを知ったことは大きな喜びだ。
ボビー・ダーリンは1960年あたりに大活躍した歌手で、最初はロックンロールでビッグアイドルに、その後スタンダードポップスの名曲を数多く残した伝説的なアーティスト。
……と、書いたが、私は全然知らなかったのです、一昨年まで。
多分、私の同世代でボビー・ダーリンを知っているという人はどうなんだろう、せいぜい1割というところでは。

『ビヨンド the シー』を観れば、ボビー・ダーリンの活躍ぶりがわかる上、素晴らしいヒット曲の数々が聴けるという仕組み。ただし、歌っているのはボビー・ダーリン本人ではなく、主演のケヴィン・スペイシー。
製作から監督まで務めたケヴィン・スペイシーは、ボビー・ダーリンの大ファンだったそうで、なるほどそれは良ーくわかる。
多分、好きで好きで、いつも歌ってたんだろうなぁ(カラオケとかで?)。そして、好きすぎてついには彼になりきって映画まで作ってしまったと。
ケヴィン・スペイシー、歌にダンスに大活躍です。ただし、アイドルにして大スターだった若き日のボビー・ダーリンを演じるにはちょっときつかったかも(笑)。でも、好きパワーで乗り切っちゃうんですけどね。

ボビー・ダーリンは夭折の天才エンターテイナー。
晩年(といっても37年の生涯)のステージでは命をかけてのステージになる。そう、エディット・ピアフのように、エルビス・プレスリーのように、美空ひばりのように。
“よくある伝説的歌手の生涯”と言えばそれまでだが、この映画は一筋縄ではいかないちょっと変わった構造になっている。
ヒット曲に数々に彩られるのは当然としても、時に突然歌い出すミュージカル仕立て、さらに自演の映画撮影と絡めながら、また彼の子供時代を子役が同じ画面に登場して、……という多層的な構成。

私はこの映画が単なる伝記映画に終わらずに、一流のエンターテインメント作品に仕上がっているのはこの構造の賜物だと思うし、きっとケヴィン・スペイシーも敬愛するボビー・ダーリンの映画をきっちりエンターテインメントにしたかったんだと思う。
というわけで、いい映画だと思います。オススメ。

さて、ペアダンスの場面は?というと、ミュージカル部分でのダンスは数あれど、ペアダンスは一カ所。映画に共演したアイドル女優サンドラ・ディーを見そめて猛アタックする場面が、タイトル同名の「Beyond The Sea」に乗って踊るペアダンス。明るくて楽しくてとても良い場面。そして、やっぱり恋愛の表現はペアダンスになるのね、と納得する場面。

ペアダンスの場面はこれともう一カ所、夫婦になった二人が静かに愛を確かめるようにリビングで踊るところくらい。

というわけで、決してダンス映画ではないし、ペアダンスの場面が多いわけではないんだけど、この映画は当ブログにとっても大きな存在。
それはボビー・ダーリンの曲が実にダンスにマッチするから。特にアメリカンスタイル社交ダンスに。

ボビー・ダーリンの歌う「Sunday in New York」や「More」は、フォックストロット(notスロー、notブルース)の定番練習曲だし、映画の最後を明るく締めた曲「As Long As I'm Singing」はクイックステップの練習曲としてよく使われる(→映画の場面)。
映画『ステップ!ステップ!ステップ!』でも「It's Only A Paper Moon」が、やはりフォックストロットに使われている。
映画の中に登場した「Artificial Flowers」や「Dream Lover」も踊りやすそうだ。
また、映画で派手な夫婦ゲンカの場面で流れる「Charade」は、私がもっとも好きな曲。BPM=65とかなり速い曲だが、これで走るように飛ぶようにクイックステップを踊ってみたい(曲時間も1分47秒と手頃だし)。

そんなわけで、社交ダンスをきっかけに存在を知り、いろいろ曲を聴いて好きになり、映画を観てますます大好きになったボビー・ダーリン。私の同世代(アラフォー・笑)にもぜひ聴いてほしいアーティストなのだ。


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追記

ボビー・ダーリンの聴くならぜひキャリアの中期、スタンダードポップスを歌っていた1960年代前半の曲がオススメです。
デビューの頃はアイドルっぽいロックンロールで、これも悪くはないのですが、いかにも軽い感じ(曲も音も)。
また、1968〜70年代になると、映画でもそうした場面はありましたが、政治に興味を持ち、反戦フォークソングを歌うようになり、これも悪くはないのですが、いかんせんシンプルすぎて古さも否めません。

 

[→映画タイトル目次へ]

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