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「ball」の語源

先日、ネットをさまよっていたら「ballroom dance」の〈ball〉とは足の裏のボール(親指の付け根部分。ダンスではよく使う言葉)のことで、社交ダンスはこのボール部分をよく使うから「ballroom dance」になった……、みたいなことが書いてあって、うーんそりゃ違うんじゃないの〜と思ったけれど、確たる自信もなくモヤモヤしていたのでした。

で、気になって調べてみたところ、〈ball〉の語源が2つあることが誤解の原因では、とわかってきました。
というわけで、調べた成果を発表〜!

まず、現在〈ball〉には2つの意味があって、一つが野球やサッカーのボール。球状のもの、玉や鞠のことです。また、そこから派生した言葉として「バカな!」とか「蛮勇」とかにも口語的に使うそうです。

で、二つ目が舞踏会、ダンスパーティのことです。こちらにも派生語があって「とても楽しい時」という意味で使うことも(a ball)。

球体の〈ball〉の方の語源は、もともと古代ノルウェー語の〈bollr〉で、これが中世英語に入って〈bal〉となり、そこから近代英語の〈ball〉が生まれたとか、古英語の beall(=球)に由来するとか、いくつかの説があるようです。同じ語源を持つ単語に〈balloon〉(=気球、風船)などがあります。

舞踏会の方の〈ball〉の語源は、ギリシャ語の〈ballizein〉(=踊る)が、まず後期ラテン語に入って〈ballare〉となり、そこから古代フランス語の〈baler〉を経て英語に入ったとのことです。〈ballet(バレエ)も同じ語源です。

そういうわけで、まったく同じ綴り、同じ発音の単語でも、複数の意味がある場合、それぞれの意味が異なる語に由来していることもあるんだそうです。

「ballroom dance」の〈ball〉はあくまで踊るという意味で、ballroomは舞踏室、ballroom danceは舞踏室で踊るダンスということ。
足の「ball」は要するに肉球的な意味での〈ball〉で、踊りとは無関係。
以上、2つの〈ball〉は無関係、という 結論なのでした。


ついでに・ちなみに……
・〈bowl〉は綴りも発音も違いますが、鉢状のもののほか、ボウリングなどの球の意味もあります。ballとbowlはたまたま(シャレ?)似てるだけ。
鉢形から円形の競技場や劇場などもbowlと言いますから、なんとなくこれもballroomとかぶりますけどまったく無関係。

・現代フランス語で「bal(バル)」は、踊りやダンスパーティ、またダンスが踊れるお店のことだそうですが、お隣のスペインの「バル」はいわゆる「BAR」のことで朝食から夜は居酒屋にもなるお店のこと。つまり全然別語源の関係ない言葉ですが、どちらも楽しそうな場所ではありますね(笑)。

・「ボール紙」のボールは、製本屋さんが表紙用に四角切った板紙の〈board〉をボールと訛ったことから生まれた日本製の言葉だそうです。

参考:エッセイ「語源の楽しみ」石井米雄名誉教授(神田外語大)

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投稿: | 2015/06/19 15:06

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